【事例】改革の摩擦係数を減らす掃除〜

新年が始まって、はや三週間、もうすぐ節分、新生活の始まりも近づいてきて

そろそろ引っ越しの準備や身辺整理をし始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、掃除。

リニューアル以前のサイトでは事例をいくつか掲載しておりましたが、当サイトではアップしていませんでしたので、こちらでもアップして起きます。

私どもの日々の業務然り、コンサルティング顧客の先で、改革に取り掛かる前にまず初めに行うことは掃除です。

クラウド化、ペーパーレス化すれば、オフィスはPC1台のスペースで十分です。

どこから始めてもいいのですが、基本的にはバックヤード、バックオフィスなど普段、その企業や商店さんのお客様の目に触れにくい場所です。(個人であれば、カバンの中身、財布の中身、部屋など)

目に触れにくい場所から始めて、掃除の基準値(仕事の基準値)を底上げしていくというのが狙いです。

目に触れにくいからこそ疎かになりがちで、またそこに改善の余地が発見できると、目に見える部分への改善への発想も自然に広がっていくのです。ですので、まずはここから始めます。

必要最小限の範囲、必要最小限の文具で形跡管理。最小範囲の整理整頓の基準が変われば、そこが新しい基準値をあらわす「縮図」となって改善が進みます。

 

仕事の新しい基準値を新設定する意味での掃除のとっかかりであれば、「身近なところで(M)小さな範囲を(C)あり得ないと思うほど(A)徹底的に行う(T)」がいいと思います。※ここでいう小さな範囲とは畳半畳、手の届く範囲、50cm四方と考えています。

広範囲から始めようとすると、一回の時間で徹底できることにも限界があるし、範囲を広める分の物理的に実行ハードルも高くなりますから、その分、やらない言い訳が心理的な抵抗感が余計に乗っかってくる可能性が出てきて、実行の抑止力になりかねないのです。

範囲が広げようとすればするほど、人情という過去の基準値が摩擦係数(範囲を広げる際の「積分定数」ともいえるかもしれない)としてかかるため、改革のために新しい基準に置き換えるときに、それらを軽減するための労力が増えるリスク(不確実性)があるのです。

掃除が単にキレイにするだけではなく改革が目的なのあれば、やはり、実行は確実に、継続させていきたいもの。

そこで、まずはそのモックアップみたいなもの、小さな範囲で新しい基準値の「縮図」をつくり、できるorできない、やるorやらない、やりたいorやりたくないなど、やらない理由の温床となりうる二元的発想を持ち込まない最小単位の先行事例をつくり、誰でも軽快に確実に実行できる状態をつくることを提案しています。小さな範囲でうまく行きだしたら、次第にその縮図をコピー&ペーストし、広範囲に応用していくのです。

一箇所キレイにすると、全部キレイにしたくなるのが人情。指示命令をしなくても、他の箇所も自然とキレイしていきたいと、人情の浮力のようなものがはたらいてくる。

 

悪いこととはいいませんが、改善のための努力なのに抵抗勢力が出てきたり、場合によっては争いになったりする理由のひとつとして、その摩擦係数を軽減する前にやってしまうからなのかもしれません。

そのため、摩擦係数を減らすために改善の単位を最小の単位にまで微分する、つまり、「最小範囲を徹底的にキレイにする」ということを通じて、その「縮図」に改革の意図を表現していくのです。掃除という形のある”モノの世界”を改善する形式的な行為を通すことで、より感覚的な形のない”コトの世界”を改善するための感覚についても、それが暗喩(メタファー)となって改善の想像を促し、実行に応用が効いてくるということはあると思います。もちろん、受け取り方はその縮図を受け取った人の感性に委ねられることはあると思いますが、その感性に委ねることは、実行する人の主体性を尊重することであり、その尊重があるからこそ、やらされ感のある掃除(仕事)ではなく、創意工夫のある掃除(仕事)に進化していくと考えています。(少々の摩擦係数は、実感として残るのであった方がいいと思います)

 

また、実際、私ども経営コンサルティングの業務において、いくら今後の明るい未来をつくるための改革を目的に議論しているとしても経営陣と会議室に閉じこもり経営を考える作業をするよりも、また、研修費と題して高いセミナー代金を使わって経営を学ばれるよりも、従業員さんたちの立場からなら現場の負が一つでも改善された方が、喜ばれたりします。

これは、私が独立前、一従業員の立場であるときにも感じていたことですが、外から見たら経営コンサルタントなんて、会社にたまに来ては経営者ともそもそ雑談しているだけで何をしているのか、どういう成果を上げているのか、それがどういう風に自分たちに還元されているかなんてわからないうさんくさい存在ですからね。成果が分からないまま、そこに自分たちの働きによって生まれた会社の経費が使われているのは気分のいいものではありません。(たとえ、そのコンサルタントが社長が信頼を置いている人であり、内容も有意義なことであっても、「見えない」という一点で、疑いというバイアスが余計に生まれたりするのです)

その点、掃除から始める改善結果は具体的です。

私たちのような外部の立場からできること役割のひとつとして、改革の新しい視点導入の機会をつくることでしょう。社内だけではなかなかやらないことでも、外圧(ガイアツ)の機会との接点を作ること、時には機会そのものになることによって、実行を後押しすることもできます。

改革の必要性が喚起されたことによって気分だけ舞い上がっていきなり着手するよりも少し冷静になった方が、続きやすいということもあります。そのためには、事前に、設備や備品などの物がきちんと本業において使われて価値を発揮しているのか、可能な限りシュミレーションして数値化おく。また、働いている人の探す、移動する、繰り返すなどの見えないコストについても無駄が多くなっている可能性があるので、これらも数値化しておく。洗い出してみると、それが改革初期であればあるほど「こんなに無駄なことに知らないうちにコストをかけていたんだ!」と驚愕する方もいらっしゃいますが、これらの情報が共有され、顧客本人がやってはいけないこと、やるべきことが自覚できるようになれば、実行は加速します。これも乗っけ分析に時間をかけすぎると行動そのものの立ち上がりスピードが落ちるので、ざっくりでいいですが、やるとやらないでは後々の成果に大きな違いが生まれます。

経営の概念・哲学を確立するために理念やビジョンを考えることも大切なのですが、実践が伴わないとどうしても観念遊びの中毒になってしまう傾向があるのです。その点、掃除は難しく考えなくてもやればやっただけその瞬間にキレイになった、スッキリしたという成果が誰の目に見ても明らか。

形のある世界が目に見えて変わり新しい基準値を肌で自覚すると、それこそ、経営理念やビジョンといった概念を考える頭の中の作業の質も、形の世界の変革によって得られた体験がその新しい基準値がベースになるので、その視界が変わり、変革のヒントが見えてきたり、決断の勇気が湧くということはあると思います。これは、実践的で有意義なことであると思います。

働き方改革に、教育改革に、改革改革と、国が制度面の充実を図ろうとする昨今ですが(いい傾向だと思っています)、いざ地方の小さな民間企業ではたらく人の現場レベルどれだけ改革が進んでいるでしょうかというと、その制度面の改革が実態に合わないということもあるでしょう。それも仕方ないといえば仕方ないですよね。マスで発信されている法制度と、多様な民間の小規模集団活動の実態がぴったり合うとも思えません。やはり、各々の事業所が自ら考えて変革に取り組んでいくしか、方法はないと思います。その変革がたとえいくら善いであろうことを実行するのであっても、その際に生まれる摩擦を考慮に入れないと、ブレーキをかけたままアクセルを全力で漕ぎ、本体に無駄な故障を発生させ、生産性を上げる目的だった改革が、かえって非生産的になってしまうということがあると思います。大上段の構えは、それなりに威はありますが、本当のところ脇が甘くなるので気をつけたいところ。私たち民間は、やはり、しっかり腰を定め中段、ないしは下段で改革(改善)を行う方が、着実な実りがあると考えています。

イノベーションに成功するためには、小さくスタートしなければならない。大がかりであってはならない。具体的なことを一つだけ行うだけでよい。あまりに大がかりな構想、産業に革命を起こそうとする計画はうまくいかない。多少の資金と人材をもって、限定された市場を対象とする小さな事業としてスタートしなければならない。さもなければ、必ず必要となる調整や変更のための時間的な余裕がなくなる。イノベーションが、最初の段階から、ほぼ正しいという程度のもの以上であることは稀である。そして変更がきくのは、規模が小さく、人材や資金が少ない場合だけである。(P.Fドラッカー「イノベーションと起業家精神」)

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