秋に読んだ本

さて、本年も残すところ僅かとなりましたが、年末年始、皆様いかがお過ごしになられるでしょうか。

「読んだ本」9月以降更新をしておりませんでしたので、

「秋に読んだ本」をピックアップでご紹介させていただいて今年を締め括りにしたいと思います。
(いずれも再読含みます)

謡曲選集(岩波文庫/野上豊一郎 編) 

 

自分の読んだ本を紹介するというのも、

わざわざ見せなくてもいい自分の中身をあけっぴろげにするような気がして、

今の年齢になるとこっぱずかしい部分もあるんですけどね、

でも、紹介することによって読者の方との対話のテーブルができるので大切なことだとも思います。

さて、一年間を通じて一番面白かったと思えるものをひとつ挙げろと言われたら、

上記の「時間は存在しない/カルロ・ロヴェッリ」(NHK出版)ですね。

世界的ベストセラーになっていると言われていますが、

やはりタイトル通り、時間を科学し、哲学する、という難解なテーマを扱っているだけに、

何を言っているのかちんぷんかんぷん、という可能性もあると思います。

 

いや、少なくとも私には分かったような分からないような、

結局、そんな感じもありましたが、だからこそ、どこかミステリアスな部分の余韻が残り、

それなりに楽しんで読むことができました。

 

時を哲学した世界最古の哲学書かもしれないとも言われる

道元の主著「正法眼蔵」の中にある「有時」の巻

「いわゆる有時は、時すでにこれ有なり、有はみな時なり。」

と、

今の物理学や科学の視座、いや、

物理学の前衛ともいわれる「ループ量子力学理論」の提唱者、

理論物理学者のカルロ・ロヴェリ氏の時の捉え方を対比した時に、

どんな表現の違いがあるだあるんだろう、

そんな好奇心をきっかけに読むことにしたのですが、

やはり、分かったような、分からんような、

でも、宗教家と最先端の物理学者の言い回しの違いの中で、

伝えようとしている本質は実は同じなのかもしれない、

ということが見て取れたらそれだけでも今の私にとっては十分かもしれません。

 

いずれにせよ、有時にしても、この本にしても、時間の概念をいい意味で打ち壊してくれました。

 

本書で私が最もストンとくる言い回しは、

 

「時間は、本質的に記憶と予測でできた脳の持ち主であるわたしたちヒトの、

この世界との相互作用の形であり、私たちのアイデンティティーの源なのだ」

 

本書で問いかけられている時間への概念は世間一般のものとは違いすぎるだけだと思いますが、

これを読んだら、

いや、可能な限りの物理学的な裏付けを基にした「時間が存在しない」という視座に立つとするならば、

私は時間の捉え方を再考せずにはいられませんでした。

 

時間という概念の基盤が時計で記録できるものなのか、

それとも、個人の主観として記憶に残っていくものなのか、未来へのビジョンなのか、

いずれのものでもないものなのか、

 

私たちが時間、時間と言っているもの、

時に追われていると感じるもの、有限だと思っているもの、

時間の正体って何なんでしょうかね。

 

多様性の受容がテーマの今の時代、

マインドフルネスの流行がそれを如実に語っているのかもしれませんが

個人でも価値観を統合して人生の方向づけたりする内省的な作業も珍しい話ではなくなってきましたし、(

企業であればその存在目的を明らかにする企業理念を構築することは昔からある重要な仕事です。

 

今、巷ではSDGs(持続可能な開発目標)が騒がれて、

個人の単位、組織、社会の単位で持続可能性に関心が集まっています。

 

企業もゴーイングコンサーン、

その存在の継続を前提とするならば、

その存在目的を明文化する企業理念の表現も一過性のものではなく、

本来、その軸には普遍的な軸が当然あるはずでしょう。

有名な京セラ経営理念、

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」

は、まさに言い得て妙、経営の重心を従業員の幸福に据え、

あえて人々ではなく人類という言葉を使うことで、

時間軸、空間軸を超越した普遍的な幸福観がうまく表現されていると感じます。

 

やっぱり、経営理念って重要なんですよね。

 

普遍的なテーマを考えるときには「時間」をどう捉えるかは重要な仕事の一つです。

時に経営コンサルティングの現場で企業理念の構築をお手伝いする業務にも従事してきた私(たち)のような立場であれば、

日常会話で表に出す話ではないかもしれませんが、

本業に向き合う意味で常に問いかけておきたいテーマでもあります。

 

この書や有時で言われる時の概念を新たに時としてとらえようとしたときに、

私たちは日々のあり方をどう観ることができるのか。

考え出したらキリがないけど、楽しいですよね。

 

さて、令和元年もあとわずか、

新しい年、新しい時間があなたにとってより有意義なものであるように祈念して、

今年の締め括りとしたいと思います。

 

 

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